【2025 J2】水戸ホーリーホックの強さ

サッカー
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2025年のJ2リーグも11/29に水戸ホーリーホックの優勝で閉幕。残りはプレーオフのみとなりました。
26年間J2リーグに所属していた「番人・水戸」の初優勝に関する記事や動画が出まくっている中で1週間遅れの更新という体たらくですが、私も水戸について語ろうと思います。

とてもありがたい縁があり、J2最終戦は水戸に伺いました。
チケットは完売ということで多くのお客さんで溢れていました。

スタジアムに向かう道路。背番号順に選手の横断幕が並んでいます。反対側にも残りの選手の幕が貼られていました。

試合開始前にはもう満員で、昔から何度か訪れたことのある私からすると
「ここは本当に水戸?」
と失礼ながら思ってしまうほど。

水戸ホーリーホックの強さ

前置きが長くなりましたが、魔境J2を制するほどの強さを見せた要因を探ってみましょう。
今シーズン前半戦、快進撃を見せた水戸について書いていましたが、この時は数字を中心にまとめました。今回はもうちょっと抽象的、というか主観的な部分について書いてみます。

若手の成長

J2最終戦の大分戦を見ただけでも、多くの若手が躍動していました。

まずは、今やかなりの注目株齋藤俊輔選手。2024シーズンに高卒ルーキーとしてデビュー、横浜FC戦のスーパーゴールは度肝を抜かれましたが、今シーズンはさらに力強さが格段に上がりました。
U20ワールドカップ、U22イングランド遠征のメンバーに選出され、中心選手として活躍することによって選手としてスケールアップ。
J2月間ベストゴールも5月・7月・8月の3回も受賞。アウェイ鳥栖戦のドリブル突破からのミドルシュートはスーパーでした。
27試合8ゴールは圧巻の結果ですね。

次は先制点の多田圭佑選手。シーズン開幕前?のプレシーズンマッチが配信されていて、そこで見た記憶があるのですが、この大一番で先発&先制点ゲットする選手までに成長するとはとても思えませんでした。
多田選手は大卒ルーキーということもあるのか、やはり強度の高い試合に出ていくことを含め、水戸の選手成長力は非常に高いと感じました。
見た目には意外ですが、体も強くヘディングも高い、将来が楽しみなFWですね。

そして2点目を奪った山本隼大選手。
最終ラインから最前線まで顔を出す運動量、スピードに乗ったときの迫力あるドリブル、そして強烈なミドルシュート。とてもスケールの大きな選手になりました。
多田選手同様大卒ルーキーですが、山本選手は大学在学時から特別指定で水戸で試合に出場していましたのでルーキー感はないですが、さらに自身の武器を磨いてきた感じがしますね。

もうひとり、どうしても触れたい春名竜聖選手。
前節の正GK西川選手の退場によって出場機会が巡ってきました。今季の水戸を象徴する選手の一人である西川選手の不在は大きな不安要素だったはずですが、その穴を埋めて余りある活躍。
高卒3年目、1年目2年目と数試合の出場機会がありながら、今季はJ3宮崎へローン移籍。シーズン途中にローンバックで戻ってきた後ここまで出場機会がありませんでしたが、とてもそうは思えない安定っぷりでした。

齋藤俊輔選手、多田選手に山本選手、いずれも学生時代は無名と言って良い選手。
その他にも長尾選手や山﨑選手など、J1クラブが追っていない選手を獲得してうまく伸ばす、これが水戸の強さなのかと思います。
センターバックの板倉健太選手は大卒ルーキーとは思えないほどの貫禄と安定感。
さらに異色ですがJFLの枚方から獲得した鷹啄トラビス選手も中心選手に成長。こんなクラブは他に見た記憶がないですね。

中堅・ベテラン選手の奮闘

若手の成長にベテランの奮闘、まぁそりゃそうでしょと言われてしまいそうではありますが。
今季の水戸は特に、若手の活躍を後押しする両サイドバックの奮闘なしには語れないでしょう。
大森渚生選手と飯田貴敬選手。大森選手は全試合フル出場、飯田選手も37節まで全試合スタメンほぼフル出場(37節はGK西川選手の退場により95分にGK春名選手と交代)。
大森選手はプレースキックのキッカーとしても活躍し、飯田選手はチーム全体をまとめる活躍。若手の多いチームにおいてこの2人の存在はとても大きかったのではないでしょうか。

そして何と言っても渡邉新太選手。
30節に大怪我をし、31節~38節途中まで欠場しながら13ゴール7アシスト。まさにエース。
この日、82分に交代出場し復帰すると、スタジアムのボルテージは最高潮に。サポーターの方々がどれだけ待ち望んでいたのかがわかる瞬間でした。

監督を含めたチームスタッフの采配

若手、ベテランと来て3つ目はチームスタッフです。

やはり森直樹監督の功績はかなり大きいのでしょう。
ここまで全試合スタメン出場の右サイドバック飯田選手が不在の最終戦、起用されたのは牛澤選手。メンバー一覧を見ると右サイドバック飯田選手の控え選手がいないんですよね。村田選手?沖田選手?どちらでもない牛澤選手の起用。何かの記事で読みましたが、飯田選手のバックアップとして夏頃から牛澤選手を右サイドバックとしてトレーニングしていたと。とても素晴らしいリスクヘッジ。これを聞いたとき少し鳥肌が立ちました。

牛澤選手のコンバートに加え、大崎航詩選手の左サイドバックからボランチへのコンバート。
大崎選手がボランチに入ってから獅子奮迅の大活躍。
私自身もボランチの大崎選手は初めて見ましたが、元々ボランチの選手かと思うような安定ぶり。そして精神的支柱として或る感じが風格すら漂っていました。
このコンバートもなかなかできることではないな、と。

そしてチーム一体感の醸成力でしょうか。
今年の移籍を追ってみましたが、津久井選手をはじめとして数多くの選手がシーズン中に抜け、代わりに加藤千尋選手をはじめとした多くの選手が加入していました。
しかし最終戦を見たところシーズン途中加入の選手の多さを感じさせない一体感を出していて、こういう組織を作る能力が非常に高いのだろうと思います。

戦術的なところはあまり詳しいことは語れませんが、コーチ陣を含めた攻撃の工夫や、守備の構築はかなり整理されている印象でした。
特に守備に関してはかなり強固にまとめているなと思いました。
ボールロスト時の帰陣の速さ、ボール奪取時の攻め上がりの速さ、このあたりは特徴だと思います。

いずれにしてもこのクラブ規模でJ2を制したということは、スタッフ陣としては痛快そのものでしょう。

来季の水戸ホーリーホック

さて、ついにJ1にチャレンジする水戸、来季はどうなるでしょうか。
予算規模が大きくないクラブですが、J1ということもあり予算拡大は必要だと思います。とはいえ急に2倍3倍にできるわけではないことを踏まえると、市場価格が高くなく能力の高い選手を獲得することになると思います。
簡単に書いていますがそれができれば苦労はないという究極なミッションです。
しかしこれまで多くの無名選手をステップアップさせてきた実績のあるクラブですから、きっとそういった選手を見つけてくるでしょう。

失礼を承知で、今年見てきたJ2の中で水戸の戦い方に合いそうな数人の選手をピックアップしたいと思います。

甲田英將選手(愛媛FC)

名古屋から愛媛にローン中の甲田選手。
2024シーズンは水戸にローンで所属していました。
あの機動力とパワーのあるシュート、昨年もフィットしていましたがおそらく今の水戸でも合うのでは…J1で見たい選手です。

野寄和哉選手(レノファ山口FC)

残念ながらJ3降格の山口において、あのドリブル突破でのチャンスメイクは目を見張るものがありました。
小柄ながら存在感は抜群、きっと攻撃のアクセントになるのではないでしょうか。
水戸じゃなくても他のJ2クラブが放っておかないかもしれないですね。

山本桜大選手(レノファ山口FC)

山口からもう一人。柏からローン加入中の山本選手。獲得は難しいかな…
あの突破からのシュート、高い決定力、魅力的な選手です。
山本隼大選手と山本コンビなんて面白そうなんですが…

世瀬啓人選手(藤枝MYFC)

鳥取を象徴する選手で、鳥取時代からとても注目していたのですが、2025シーズンは藤枝で活躍。正直須藤監督はいい選手に目をつけたなぁと思っていました。
J1で見たい選手ですがビッグクラブが獲得に動くことはなさそうかなというところもあり、水戸でまた一回り成長するところを見てみたいです。

内藤大和選手(ヴァンフォーレ甲府)

甲府ユース育ちのFW。
どこの試合だったか忘れてしまいましたが、抜け出しと足首の柔らかさで取ったゴールに衝撃を受けた選手です。
下部組織出身なので他クラブへの移籍は可能性が低いかもしれないですが、水戸にも合いそう・J1経験ということで実現したら嬉しいです。

五十嵐聖己選手(いわきFC)

衝撃を受けた運動量、強烈なシュート力を持った両サイドができる選手。
五十嵐選手は本当に衝撃でした。
五十嵐選手についてはただ「J1で見たい」、それだけで選んでしまいました。

勝手に数選手を挙げてしまいましたが、他にもいっぱい魅力的な選手がいるJ2、本当に面白いリーグです。J2っていいですね…

さいごに

水戸ホーリーホックに関わる皆さん、J2優勝ならびにJ1昇格おめでとうございます。
26年間というJ2生活、J2の象徴といってもいいクラブですので、来シーズン水戸のいないJ2が考えられません。さよならはいいません、J1で暴れてきてください!

この日のケーズデンキスタジアム水戸、どこを見ても笑顔笑顔でした。
こんなに幸せが満ち溢れた空間は味わったことのない、最高な空間でした。
素敵な経験をさせていただき、ありがとうございました。

さいごまで読んでいただきありがとうございました。

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