【2025 J2前半戦】絶好調の水戸ホーリーホックについて

サッカー
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2025シーズンのJ2も あっという間に前半戦が終わってしまいました。
毎年面白すぎるJ2リーグですが、今年絶好調なのが水戸ホーリーホック
勝ち点38ポイントで首位ジェフユナイテッド千葉と並び2位につけています。
2000年にJ2に参入したのち一貫してJ2に所属、今シーズン26年目の水戸ホーリーホック。J2の番人と呼ばれて久しいチームがJ1自動昇格圏内に位置づけています。これは少し調べてみないと…

他シーズンとの比較

今年なぜ絶好調なのか?
調べるにあたって一番わかりやすい変化点は監督でしょうか。現在は森直樹監督がチームを率いています。

直近の監督変遷は以下の通り。
・長谷部茂利監督(現川崎フロンターレ監督 2018~2019)
・秋葉忠宏監督(現清水エスパルス監督 2020~2022)
・濱崎芳己監督(現カマタマーレ讃岐ヘッドコーチ 2023~2024途中解任)

長谷部監督が率いた水戸史上最高順位の2019シーズンと、前任の濱崎監督が1シーズン率いた2023シーズン、今シーズンと勝敗表を見てみましょう。

2019PldWDLGFGAGDPointsPPG
Home Form211173341717401.90
Away Form2186722202301.43
Overall42191310563719701.67
2023PldWDLGFGAGDPointsPPG
Home Form215883036-6231.10
Away Form216691930-11241.14
Overall421114174966-17471.12
2025PldWDLGFGAGDPointsPPG
Home Form1174018711252.27
Away Form8413981131.63
Overall191153271512382.00

2019、2023シーズンとは総試合数が違うので単純比較はできないものの、今シーズンの後半も同じポイントを稼いだ場合は76ポイントに達し、70ポイントの2019シーズンを超えることになります。
2019シーズンは7位でプレーオフ進出を逃していますが、このままのペースでいけばプレーオフ以上は可能性が高そうです。

一方、濱崎監督が率いた2023シーズンはかなり苦戦したことが窺えます。継続して2024シーズンも率いますが13節を終えて解任。現在の森監督がコーチから昇格しています。
目立つのはホームでの獲得勝ち点の低さ。1ポイント差とはいえ、アウェイでの獲得勝ち点よりもホームが少ないというのはファン・サポーター、ひいてはスポンサー獲得にも影響を与えてしまいそうです。
これでは解任もやむなしというところでしょうか。

さて、1試合平均勝ち点は2019シーズンが1.67。プレーオフ進出が1.5以上、自動昇格が2.0以上がおおよその目安とすると、やはり今シーズンは勝ち点上でも自動昇格が狙える状態…ついに門番がJ2を卒業してしまうのか…

スタッツ比較

ここではいくつかスタッツを拾って前任濱崎監督時代の2023シーズンと森監督の今シーズンを比較してみましょう。

総走行距離(平均/試合)

2023シーズンは総走行距離が比較的少なく、1試合あたりの平均走行距離はリーグ平均レベルからそれ以下でした。公式のJリーグデータによれば、一般的にJリーグの選手は1試合に平均10~12km走ります 。チーム全体では試合毎に約105~110km前後(推定)の走行距離だったと考えられ、水戸はこの値がリーグ中位程度に留まっていたと見られます。実際、走行距離の長いチームほどボール支配率が高く勝率も上がる傾向がありますが、当時の水戸はボール支配率も低め(47%)で走行距離の面でも突出していませんでした。

2025シーズンは平均走行距離が明らかに増加しました。 2024年後半から2025年前半にかけて、水戸はより運動量と強度の高い戦術を採用し、1試合あたりの走行距離が増加したと推測されます。走行距離が増えたことでボール保持率も向上し、試合終盤に相手より走り勝つ展開が増えました。実際、走行距離が長いチームほど勝利する確率が上がるというデータもあり、水戸は走力強化により競争力を高めたと言えるのではないでしょうか。

その他スタッツ

  • 平均勝ち点(試合あたり): 2023年は1試合あたり約1.12ポイントに留まりました。一方、2025年シーズン第19節時点で1試合あたり2.0ポイントを獲得しています。
  • 得点力: 攻撃面でも改善が見られました。2023シーズンの得点は49得点/42試合(平均約1.17得点)でしたが 2025シーズンの得点は28得点/19試合(平均約1.47得点)と効率が上がっています。決定力が上がっています。
  • 失点率: 最も顕著な変化は守備力です。2023シーズンの失点は66失点/42試合(平均約1.57失点)と守備が不安定でしたが2025シーズンでは15失点/19試合(平均0.79失点)と劇的に改善しました1試合あたりの失点が約半分近くに減少し、クリーンシート(無失点試合)も増えています。守備陣の組織と個人守備能力が飛躍的に向上したことを示しています。
  • ボール支配率(ポゼッション): 2023シーズンは相手に主導権を握られる試合が多く、47%程度のポゼッションにとどまった試合も散見されました。持たせているのであれば問題ないのですが、失点数を見るとそういうわけでもなさそうです。逆に2025シーズンは期間Bではポゼッション平均52%と過半を握るまで改善しています。特にホームゲームで平均54%と主導権を取る展開が増えました。走行距離増加など運動量アップにより、中盤で相手より数的優位を作りやすくなったことがポゼッション向上の一因です。
  • シュート関連: 攻撃回数も増えました。2023年は1試合あたりのシュート本数が約10本前後でしたが、2025年は平均11.3本とやや増加しています。

スタッツ変化の要因と考察

前述のとおり、スタッツの改善要因としては戦術変更(走力・デュエル重視)と監督交代によるチームマネジメント向上が挙げられます。加えて以下のポイントも考えられるのではないでしょうか。

  • フィジカル強化: トレーニング面で持久力・瞬発力向上に取り組み、選手のコンディションが向上した可能性があります。実際、Jリーグ公式データでも試合終盤の走行距離1km増加が攻撃関与20%増に繋がるとの分析があり、スプリントコーチを置いている取り組みも実を結んでいると言えるでしょう。
  • メンタル/意識改革: 監督交代後はアグレッシブに変化しました。「まず走る」「球際で負けない」という意識づけが選手間で共有され、スタッツに現れる数値の向上につながったでしょう。

各スタッツ表


Season2019Season2023Season2025
StatsOverallAt HomeAt AwayOverall At Home At Away Overall At Home At Away
Wins45%52%38%26%24%29%58%64%50%
Draws31%33%29%33%38%29%26%36%13%
Losses24%14%33%40%38%43%16%0%38%
xG For / Match1.71.811.591.261.291.221.561.661.43
xG Against / Match1.51.421.581.411.391.431.41.21.65
Scored / Match1.331.621.051.171.430.91.421.641.13
Conceded / Match0.880.810.951.571.711.430.790.641
AVG (Match Goals Average)2.212.4322.743.142.332.212.272.13
Clean Sheets %38%38%38%24%14%33%47%45%50%
Possession AVG48%48%48%47%47%46%52%54%49%
Shots Taken / Match13.3614.1912.529.679.869.4811.3211.7310.75
Fouls Committed / Match12.8312.4313.2412.2912.3812.198.7510.57
Fouled Against / Match12.1412.5711.7111.2611.8610.677.7578.5
Penalties Won2 in 421 in 211 in 213 in 423 in 210 in 210 in 190 in 110 in 8
Penalties Conceded4 in 423 in 211 in 217 in 425 in 212 in 211 in 190 in 111 in 8

注目選手

最後に、注目選手をピックアップします!

渡邉新太選手

この選手に触れないわけにはいきません。
9ゴールで現在得点ランキングトップタイ。新潟で活躍し、大分に移籍したことまでは知っていましたが直近はあまり名前を聞くことが少なくなっていた印象でしたが、復活(と言っては失礼ですが)を遂げました。
シュートの正確性、献身的なプレー、どれを取っても若手の多いチームの見本となっているでしょう。

西川幸之介選手

渡邉新太選手同様、大分より移籍してきたGK西川選手。
なんと言ってもキックが魅力。一本のロングパスで状況をひっくり返す、まさに一撃必殺。
ロングパスの弾道が低く、ボールスピードも速いので相手の裏を取りやすく、GKながら攻撃力アップの一翼を担っているのは確実。
もちろんGKとしてのプレーも安定しているし、今年23歳の若さもありステップアップもあるかも?

大崎航詩選手

水戸ホーリーホック5年目の大崎選手。
左サイドバックが本職ながら今季はボランチ。どっちが本職?というくらいのフィット感でもうチームに欠かせない選手になっています。ぜひ見て欲しい選手の一人です。

板倉健太選手

東京国際大学からのルーキーセンターバック。
落ち着き、安定したプレー、とてもルーキーとは思えないセンターバックです。
既に16試合でスタメン起用されているところが物語っています。
正直試合をチェックした中で一番の驚きかもしれません。ここでひっそりと書いておきますが、この選手は確実に近い将来にJ1(もしかしたら海外)でプレーしているはずです。


以上、とりとめなく書いてしまいましたが、いま注目の水戸ホーリーホック、
このまま快進撃が続くのか、これからはじまる後半戦に大注目ですね!

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